Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

すこしおそすぎて、もう若葉にさす夕方の斜光の美しさはなかったけれど、芽立った樹々の重りの奥ふかい軟かさ、色調の変化の素晴らしさ。日比谷も全く見ちがえます。この公園は私たちの生活にどうもなじみふかいのよ。先は、接見許可をとりに行ってかえりにはすこし樹の下を歩くのが習慣でしたし、いつか冬の晩、父の命日の会食のかえりに雪見を寿江子としたり。新緑の日比谷は、日頃ここに手入れしている人をありがたいと思います。

それから、一寸夕飯をたべて、咲枝の誕生日のおくりものに、やすくて可愛いタバコ入れを買って(のむのよ)新橋からのって、早くかえって早くねむりました。そんなにして、羽根をのしつつ、懐の中にひそめた一巻の詩集は、しっとりとした重さで私が見るものやきくものを共感しているというわけです。きのうはね、陽光のかげんで、むき出しにした若い女のひとたちの腕や脚が、新鮮な桃色の絵の具で艷々描かれたように見えて、描きたい衝動を感じました。新しい緑と桃色みたいなそういう人体の美しさを、それなりの自然の品のよさで画面にとりいれたら素敵ね。そういう人なかなかなし。

新緑に感じる私の恍惚は一年の絶頂ね。