Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
東京は南京虫のいるところは凡そどこときまっていたのが、相当どこにでもいるようになったし家ダニが又あっちこっちに発生しました。去年ぐらいから。去年はここにこんな悪虫はいなかったのにね。ここに出来ると、家は古いし、退治が困難ね。ネズミにつくシラミですが、ネズミの体をはなれても殖えて、人間の皮膚をさすしもぐり込むのよ。いらいらと迚もいやにかゆくてなかなかなおらず、ひどい痕をのこします。おみやげは何にもないからせめてこの虫くい腕をお目にかけましょうね。これだってなつかしき故郷よりのたより、よ。赤紫斑入りの腕なんて、女房の腕として、あなたもお珍しいでしょう、きょうは見事なんだのに。惜しいこと。背中で蠅が盛に集団運動をやっています。蠅と云えばチェホフに蠅をとっている退屈な人の物語がありますね。あれはきっとタガンローグという彼の生れた町での見聞ですね。タガンローグの町には小さいチェホフの博物館がありますが、そこの中央ホテルという大ホテルには食堂がなくて、となりの食堂へ行くのよ。そこで美味しい魚の清汁をたべましたが、美味いも美味かったが蠅がひどくて、ほんとにスープたべているサジについて口へ入って来そうな勢なの、太ったおかみさんがいて日本の女が珍しいもんでわきにくっついて喋っていて、何て蠅が多いんだろうと云ったら、何だか