Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
家をあけて、どこかへ行ってしまうことも出来ず。いつものことながら暮しの形はむずかしいので閉口です。菅野さん母子も満州にいる父さんからもし為替が不通になった場合、義兄さんが扶助するのでしょうし、こっちと一緒にグラグラでは困るし。この頃は食料の買い出しだけで一人分の仕事よ。朝のうちパンの切符をとり魚やを見て予約しておいて、午後パンを買いにゆき、八百屋の切符とっておいて次の日買うという有様で、お菓子でもすこしたべようと思えば一日じゅう一人は歩きまわっていなくてはならないことになります。だからうちなんかいつもうまい買物はのがしつづけです。何しろこの間はそちらのかえりに、あの界隈で古ショウガを三銭買って来て大威張りという有様です。思いもかけず、米沢の方から一箱胡瓜、ナスを貰って大ホクホクという有様だったり。
郡山へは必要上、年内に一遍行かなければならないでしょう、整理しなくてはならないから。寿江子咲枝はそういう点では実に散漫ですから。あのおばあさんはそうよ、政恒夫人よ。運という名をつけるのね昔のひとは。開成山の家の上段の間の欄間に詩を彫りこんだ板がはめこまれていて、それにはじいさんが開拓した仕事のことが書いてあるようでした。