Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 230.599 Zeichen · 458 Bildschirme
それからね、私の左のひとさし指に、もしかしたら魚のめが出来るのよ。いつかとげをさして、そのあとが黒く小さくかたくなってまわりがすこし半透明になりました。
中公の本の初校出はじめました。技術的な校正は、メチニコフのおくさんにして貰います。あのひとはそのことはよくなれているのよ。そして、傍ら索引をこしらえて貰うの。ざっとしたものでも。よむひとの便宜のために。メチさんは今お留守番で、いくらか収入があった方がいいのですから。市価は払うことにします。年表の娘さんのためにもいくらかためになってやれたし、一つの本の功徳はいろいろあるものですね。
さアもうこの位にして、もう一息。ああそれからね、もう一つ。きのうの夜散歩して、私がちっとも散歩しないわけわかりました。やっぱりひとりだからね。ちらりと何か見ておやと興味ひかれるでしょう、そういうとき少くとも云うことのわかる対手と歩いているとちょいちょいそんなこと喋って、何だか自分でも印象はっきりして面白いのね、歩いてみるのが。目白の通りに一軒釣道具屋があって、その店には気がついていたのですが、ゆうべその店先に女のひとが坐って客と話していてその女のひとはやっぱりどこか下町風で、着物の縞の色や髪や横顔、ある印象があり、釣の伝統がその女のひとに映っているのよ。