Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「あわれなやつだ」
「どっちがですえ」
「おのれというおろか者がだ。まだ酒癖が直らんな。これ大蔵、一ト晩寝てよく考えろ。おのれはどうかしてるぞ」
老獪である。時親はやっぱり腹を立てなかった。下郎のたわ言、いわせておけと、木枕をとって、うしろ向きに寝てしまった。
眼がさめた。もう朝らしい。ひばりか、よしきりの声か、川面の霧がうッすら陽の色をさまたげている。
いつかしら、大蔵の姿は小屋に見えなかった。
時親は何かぶつぶつ言っていたが、あきらめたふうである。やがて、むしろを立って、河原の葦の下へ行き、口をすすぎ、顔など洗って、ゆうべつないでおいた牛のそばへ歩み寄った。
すると、堤の蔭に腰かけこんでいた大蔵が牛の向う側から、のっそり立って。
「先生、おはようございます」
「なんだ、いたのか」
「へ、へ、へ」
「きさま、あれからよそへ行って、よそで寝たな」
「じつは酒を買いに行ったとき見た女があるんで、それと約束しといたもんですから」
「よく約束を忘れぬほど性根があったな。さんざんわしに毒づきおった。おぼえておるか」
「どうも、その」
面目なげに、大蔵はあたまを掻いた。それも指の先で横びんを掻くようなのでなく、大きく腕であたまを抱え込んで見せ。