Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「だいぶ今日は武者に会うな」

「いますね、ずいぶん」

「対岸の赤松勢を牽制しているのだろう。もし赤松勢が京へ進むなら、こなたは河を渡って、後ろを突くぞという姿勢だ」

「桂川か、七条辺か、あっちではもう合戦じゃありませんか。今朝もまっ黒に煙っている」

「むずかしいな、だいぶ。これや京へ入るのは一ト骨だろう」

「むりはよしましょうぜ。遠くても深草へ抜けてみたら」

「そうだな、大和口には煙もみえん。大蔵、いずれ木戸の調べもあろうが、医師吐雲斎と答えるのを忘れるな」

「ぬかりはございません。そして、てまえは薬持ちの下郎とでも申しますから、先生も下郎の前身をうッかりばらしてはいけませんぜ」

洛内はもう鼻のさきに来ていたが、深草を過ぎたころからやたらに兵馬の駐屯や行軍にあい、避ければよけて行くさきが、

往来止め

の制札だった。

やっと、時親と大蔵が、京の大和大路の口、極楽寺へんにたどりついたのは、また一ト晩を、木賃に寝ての翌日となっている。――しかしその日、法勝寺一ノ橋二ノ橋なども、遠くから見てさえ陣気もうもうの様子である。二人はおそれをなして、ここでも道をわざわざ月ノ輪へとり、まどろいことだが、山ふところを縫って、東山の下へでも出ようかという思案らしい。