Japanische Klassiker mit Furigana
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えんむすび
縁結び
泉 鏡花
Lesen Sie 縁結び (えんむすび) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.536 Zeichen · 33 Bildschirme
「そんなに吃驚なさいませんでもようございます。」
となおさら可笑がる。
謙造は一向真面目で、
「何という人だ。名札はあるかい。」
「いいえ、名札なんか用りません。誰も知らないもののない方でございます。ほほほ、」
「そりゃ知らないもののない人かも知れんがね、よそから来た私にゃ、名を聞かなくっちゃ分らんじゃないか、どなただよ。」
と眉を顰める。
「そんな顔をなすったってようございます。ちっとも恐くはありませんわ。今にすぐにニヤニヤとお笑いなさろうと思って。昨夜あんなに晩うくお帰りなさいました癖に、」
「いや、」
と謙造は片頬を撫でて、
「まあ、いいから。誰だというに、取次がお前、そんなに待たしておいちゃ失礼だろう。」
ちと躾めるように言うと、一層頬辺の色を濃くして、ますます気勢込んで、
「何、あなた、ちっと待たして置きます方がかえっていいんでございますよ。昼間ッからあなた、何ですわ。」
と厭な目つきでまたニヤリで、
「ほんとは夜来る方がいいんだのに。フン、フン、フン、」
突然川柳で折紙つきの、(あり)という鼻をひこつかせて、
「旦那、まあ、あら、まあ、あら良い香い、何て香水を召したんでございます。