Japanische Klassiker mit Furigana
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えんむすび
縁結び
泉 鏡花
Lesen Sie 縁結び (えんむすび) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.536 Zeichen · 33 Bildschirme
十
と不思議な事には、堂の正面へ向った時、仁右衛門は掛金はないが開けて入るように、と心着けたのに、雨戸は両方へ開いていた。お君は後に、御母様がそうしておいたのだ、と言ったが、知らず堂守の思違いであったろう。
框がすぐに縁で、取附きがその位牌堂。これには天井から大きな白の戸帳が垂れている。その色だけ仄に明くって、板敷は暗かった。
左に六畳ばかりの休息所がある。向うが破襖で、その中が、何畳か、仁右衛門堂守の居る処。勝手口は裏にあって、台所もついて、井戸もある。
が謙造の用は、ちっともそこいらにはなかったので。
前へ入って、その休息所の真暗な中を、板戸漏る明を見当に、がたびしと立働いて、町に向いた方の雨戸をあけた。
横手にも窓があって、そこをあけると今の、その雪をいただいた山が氷を削ったような裾を、紅、緑、紫の山でつつまれた根まで見える、見晴の絶景ながら、窓の下がすぐ、ばらばらと墓であるから、また怯えようと、それは閉めたままでおいたのである。
十
その間に、お君は縁側に腰をかけて、裾を捻るようにして懐がみで足を拭って、下駄を、謙造のも一所に拭いて、それから穿直して、外へ出て、広々とした山の上の、小さな手水鉢で手を洗って、これは手巾で拭って、裾をおろして、一つ揺直して、下褄を掻込んで、本堂へ立向って、ト頭を下げたところ