Japanische Klassiker mit Furigana
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えんむすび
縁結び
泉 鏡花
Lesen Sie 縁結び (えんむすび) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.536 Zeichen · 33 Bildschirme
八
八
「やあ、これからまたお出かい。」
と腹の底から出るような、奥底のない声をかけて、番傘を横に開いて、出した顔は見知越。一昨日もちょっと顔を合わせた、峰の回向堂の堂守で、耳には数珠をかけていた。仁右衛門といって、いつもおんなじ年の爺である。
その回向堂は、また庚申堂とも呼ぶが、別に庚申を祭ったのではない。さんぬる天保庚申年に、山を開いて、共同墓地にした時に、居まわりに寺がないから、この御堂を建立して、家々の位牌を預ける事にした、そこで回向堂とも称うるので、この堂守ばかり、別に住職の居室もなければ、山法師も宿らぬのである。
「また、東京へ行きますから、もう一度と思って来ました。」
と早、離れてはいたが、謙造は傍なる、手向にあらぬ花の姿に、心置かるる風情で云った。
「よく、参らっしゃる、ちとまた休んでござれ。」
「ちょっと休まして頂くかも知れません。爺さんは、」
「私かい。講中にちっと折込みがあって、これから通夜じゃ、南無妙、」
と口をむぐむぐさしたが、
「はははは、私ぐらいの年の婆さまじゃ、お目出たい事いの。位牌になって嫁入りにござらっしゃる、南無妙。戸は閉めてきたがの、開けさっしゃりませ、掛金も何にもない、南無妙、」