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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「吉田親分さんに、申しあげます」

「なんな?」

「この盃、親分子分の盃ではありませんでしょうね?」

「そういうことに、しても、ええ」

「いいえ、それなら、頂きません。それは、もうすこし考えさせて下さい。なんでもない酒なら、よろこんで頂戴します」

「大層、仁義がやかましいのう。君の好きなようにして、飲んだら、ええわい」

吉田は屈託なげに笑ったが、その表情には、不快そうなものが、露出していた。

この両者が、生涯を宿敵として、渡りあう運命の出発は、このときにしたのかも知れなかった。

酒がまわると、座はにぎやかになって来たが、やがて、吉田磯吉のなにかの話がはじまると、一座は、急に静まって、それに耳をかたむけた。

金五郎は、はじめの方は聞きそこなったが、どうやら、吉田の回想談らしかった。三四年前の出来事らしい。

酔ってはいても、すこしも乱れない吉田は、赤い顔に陶酔の面持を浮かべ、身ぶり手まねを入れて、咄々と、語る。

「その晩は、大雨降りでなあ、雷まで、ゴロンゴロン鳴りだしやがって、まあ、なぐりこみには、あつらえ向きといえんこともなかった。なにしろ、相手は江崎満吉、今でも、子分を何百人と持って、幅をきかせとるが、その頃は手のつけられん横暴の最中でな、紀元節の日に、決戦をやろう、ちゅうて、わしのところに、果し状をつけて来とった。