Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
序章
女の出発
序章
女の出発
「たいそう暗いが、キヌさん、もう何時ごろかのう?」
「まあだ、三時にはなりゃあすまいね」
「やれやれ、この谷は一日がよその半分しかないよ。仕事も半分しか、でけやせん」
「その代り、夜がよその倍あるわ」
「倍あったって、電燈はつきゃせんし、油は高いし、寝るしか用がない。この村の者がどんどん都に出て行くわけがわかるよ。遠いところに行く者は、ハワイやブラジルまでも行っとる。成功しとる者もたくさんある。その成功した者は、もう二度とこんな草深い田舎には、かえって来やせん。かえらんのがほんとよな」
「マンさん、あんたもどうやら、出心がついたようにあるねえ。兄さんの林助さんは、関門の方に行ってなさるということだが、元気にして居りんさるかね」
「はい、門司で、沖の仕事をして、儲けだしとるとかで、わたしに、出て来んか、って、なんべんも手紙をくれなさる」
「だけど、たいがいなら、港なんどというところには出んがええよ。人気が荒うて、若い娘はモミクチャにされるというけえ。……マンさん、もう、煙草葉のばすこと、やめんさい。帰ろうや」
「お父っあんが、楽しみに待ってなさるけえ」