Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
青春
腹をかかえて笑いたい。しかし、顔は仏頂面になる一方だ。
「もう一本、あげましょうか?」
「いや、もう、ええです」
金五郎は、笑って、金を払った。財布の方は盗られてしまったけれども、幸い、小銭がポケットにすこしあった。ラムネ三本代を払うと、あとに、五銭。やっと、割引電車に乗れる。
洋服の泥を払い、身づくろいをして、表に出た。
なにごともなかったような、絢爛として頽廃的な浅草の雑沓。金五郎は、眼がちかちかし、眩しくて仕方がなかった。
「お京さあん……」
大声で、呶鳴ったら、聞えないだろうか。
金五郎は、不意に、赤面した。逃げるように、仁王門の方角に急いだ。
青春
「どうも、たいへん御邪魔いたしました。それでは、これで失礼いたします」
「まあ、もうすこし、ゆるッとなさったら?……まだ、雨も降って居りますし、……」
「いえ、この雨は地雨のようで、どうせ止みそうもありませんから、……親方、お暇いたしましょう」
「うん、そうじゃな」
マンと、大庭春吉とは、立った。
帆柱山の麓の高台にある藤本家からは、八幡製鉄所が眼下に望まれる。囂々たる音響と、濛々たる煤煙。その向こうには、無数に近い大小船舶の碇泊している洞海湾がひろがり、対岸には、若松の高塔山、石峯山、等の、山というよりも、丘陵の親分ほどの高地がつらなっている。