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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

命

かっと照りつける太陽に、汽船の鉄板からは陽炎が立ち、仲仕たちは汗みどろである。洞海湾内の水は青く、浮標を拠点にして、数十羽のカモメが魚をねらって、群れ飛んでいる。ときどき、海面にボラがはねる。

タネが一くさり歌い終ると、待っていたように、艀の船頭が、銅鑼声をはりあげて歌いだした。

沖のゴンゾが

人間ならば、

蝶々トンボも

鳥のうち……

「こン畜生」

棚に立っている「六ゾロの源」が、舳にしゃがんで、帆の修繕をしているその船頭を、団栗眼をむいてにらみつけた。それから、歌いだす。

船は破れ船、

船頭は片目、

艫の垢引きゃ、

カサ頭

船頭の息子らしく、十二三の男の子が、竹ポンプで、しきりに、艀にたまった垢水を汲みあげている。鉢のあいた頭いっぱいに、吹き出ものがしていて、それに、蝿が四五匹、とまったまま動かない。

仲仕たちはげらげら笑う。子供はなんで大人たちが笑っているのかわからないが、ふりかえって、きょろきょろしながら、自分も笑った。また、どっと、新たな哄笑。

船頭は、いまいましげに、しかし、心から怒っているわけでなく、自分も笑いながら、また、仲仕をからかう文句を歌ってやりかえす。