Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
追放
追放
巌流島の見える桟橋横で、マンは煙草をのみながら、魚釣りを見物していた。
昼休みである。
魚を釣っているのは、彦島の諸式商「なんでも屋」の親爺、まだ、五十には遠いのに、すっかり頭髪が絶えてしまい、橙色に光っている。釣り気ちがいで、店は女房まかせ、そのために、いつも、夫婦喧嘩の絶え間がない。喧嘩といっても、常に、細君の方の一方的勝利に終るので、「なんでも屋」は、嚊天下として、鳴りひびいている。
マンは、ひやかす。
「あたしの林助兄さん夫婦と、おたくは正反対ね。兄さんの方は、亭主が威張っとって、オンピン・メンテレやけど、「なんでも屋」さんは、オンテレ・メンピンやわ。しっかりしなさいよ」
「そげんこというたって、世間には、オンテレ・メンピンが、多かとばい。まあまあ、女房には負けとくが、よかとたい」
「そんなだらしのないことで、どうするとですか。見とって、はがいいわ」
「フフフ……」
「なんでも屋」は、マンの顔を、じろじろと見て、妙な笑いかたをし、
「そりばって、マンさんが嫁女になったら、はげしいメンピンになるとじゃろうもん……?」
「あたし、亭主が理不尽なことせんかぎり、おとなしい、ええおかみさんになるつもりよ」