Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
……三十秒でも、よか」
金五郎も、ただごとでないと悟って、ごたごたと品のならんでいる諸式商の軒先に入った。
「なんでも屋」は、奥の方で、赤ん坊を寝かせつけている女房に、気がねするように、おどおどした小声で、昼休み、桟橋横で起った事件を、かいつまんで話した。
マンの遭遇した危難の物語は、金五郎の怒りを、倍にした。
「よし、わかった」
と、ほとんど、血相を変えて、表に出た。
焼杉板の黒塀に沿って、山下邸の門をくぐった。昨夜のように、裏口からではなく、表玄関に回った。
「おごめん」
三度ほど、案内を乞うと、玄関番のにやけた「先生」が出て来た。厚司着で、突っ立ったまま、
「誰かと思や、金さんか。用があったら、勝手口に廻れや」
「願います。吉田親分さんに、コレラの玉井金五郎が、ちょっと、お目にかかりたい、というて、来て居ります、と、取り次いで下さい」
「吉田親分に、なんの用かや?」
「それは、お目にかかって、じかに、申しあげます」
「先生」は、うろんな眼つきで、金五郎を見たが、不承々々に、引っこんだ。
まもなく、出て来た。
「大将が、逢うてやる、といいなさっとる。わたしに、ついて来なさい」