Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうやら、勝ち戦らしいのう」

「ロシヤのような大きな国に仕掛かって、日本みたいな小さい国が、ようも、ここまで、やったもんじゃ」

「図体が大きいばかりじゃあ、なんにもならん。小そうても山椒はピリッと辛い。正義には、勝てるもんか」

「それでも、旅順が、なんぼ攻めても落ちんころには、ひやひやしたのう」

「日本が勝ちゃあ、港も、景気が出るばい。そん時は、ゴンゾ様々たい。……なあ、ボーシン」

呼びかけられて、金五郎は、帳面をつけていた手を休めた。

「なんか、いうたな?」

「ロシヤが負けたら、港の景気も出て、こちとらゴンゾも、芽が出ろう、というたとよ。ボーシンの考えは、どうじゃ?」

「そら、芽が出るじゃろうよ」

金五郎は、仕方なく、そう答えたが、彼の厚い胸の中の芽は、そんな、ここの港だけのような小さな芽ではなく、支那大陸へおろされ、すくすくと伸び、無限にひろがる壮大な芽であった。

(いよいよ、宿願の大陸へ渡れる時期が近づいたぞ)

金五郎の眸は、遠い空を望む。

金五郎の着ている印半纏の襟には、両方に、永田組の文字が染め抜かれ、上部に、助役と、赤で入れられてある。助役をボーシンというのは、汽船用語のボースンが訛ったものらしく、一つの組の世話役を意味している。