Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
うどん屋も、顔見知りだった。
「玉井のごりょんかね。おそいなあ。もう、仕舞おうかと思うとったんじゃ」
「一時に仕舞うのは、早いじゃないの? いつもは、二時すぎまでもやっとるのに……」
「ケタイ糞が悪いけ」
「どうして?」
「角助の奴に、今、売りあげを、みんな、持って行かれてしもうた。さんざ、飲み食いした揚句の三八に。もう、これで、四度目じゃよ」
「警察にいうたら、ええのに」
「そんなことしたら、命がない。どうも、この土地は柄が悪いなあ。真面目な商売は出来やせん。暴力団が威張っとるし、このごろじゃあ、泥棒も増えた。わしも、もう、明日から商売が出来ん。資本をさらわれてしもうたけ、こっちも、泥棒でもしようごとある」
二杯の狐うどんを、マンと、もう一人の男にわたして、夜泣きうどん屋は、しきりに、愚痴をこぼした。
「「当り矢」さん」
「へい」
「これ、資本の足しにしませんか」
マンは、泥棒から返して貰った一円札二枚を、帯の間からとりだした。
「いえ、ごりょんに迷惑かけたんじゃあ……」
「かまいませんよ。困ったときは、おたがいですわ」
「そうですか。……そんなら……」
「当り矢」は、おしいただくようにして、それを受けとった。