Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
……そげなこた、どうでも、ええ。その書付を、よく見て、さっさと、永田組は引きあげれ」
「なんの書付や?」
「これです」
と、金五郎は、譲渡証を、永田に渡した。金五郎は、悪いところに、親方が来た、と思ったけれども、仕方がない。もし、永田が、それを認めると、大変なことになる。まさか、親方の譲渡証など角助が持っていようとは思わなかった。また、この日ごろ、現場に来たこともない親方が談判の最中に、姿をあらわすことなども、夢想だにしなかった。意外なことの連続だ。といって、満目衆視の中で、親方に姑息な智慧づけをすることも、許されなかった。
永田杢次は、うすい青罫紙を両手でひろげ、不審げな顔つきで、読んだ。ようやく白んで来た朝の光にあてて、透かしてみるように、天に向かって、高くさしあげ、小首を傾けた。
「こら、なんじゃ? 妙なもんじゃなあ」
と、呟いた。
それを聞いて、金五郎は、ほっとした。
角助は、いよいよ、顔をまっ四角に尖らせて、白濁した三角眼をひんむき、
「妙なもんちゅうことが、あるもんか。あんたが、ちゃんと、承認のうえ、自分で、署名して、判子をついたんじゃないか」