Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「こんなものに、なんで、判をつくもんかい」

「今さら、白ばくれても駄目じゃ。その字も、判も、あんたのものに違いないよ」

「こんな馬鹿な書類に、名を書いたり、判をついたりした覚えはない。字も、判も、ようもまあ、似せたもんじゃなあ」

永田杢次は、まったく、記憶がないのであった。実際は、知覚を失した泥酔中に、サクに手伝わせて、署名捺印したのである。手付として、貰った金も使ってしまった。しかし、その片鱗だに記憶に残っていないので、柔和な眼に、しだいに、猜疑のいろを浮かべて来て、怒りはじめた。

「角よい、お前は、それでも、人間か。こんな偽の書付をこしらえて、恩になった親方に、後足で、泥をはねかけるようなことをするなんて……」

「そんなことじゃろうと、思うた」

金五郎は、そういうと、素早く、永田の手から書類を取って、ずたずたに、引き裂いた。出来るだけ細かく、特に署名捺印のところが、後に痕跡を残さぬように注意して、粉々にした。

「なにを、無茶するか」

おどろいた角助が、喚くように叫んで、飛びついて来たが、左手でおさえて、

「無茶は、そっちじゃ。仕事師なら、こんなインチキせんで、もっと、男らしゅうしろ」