Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
一時が、打った。
二時が、打った。
三時が、打った。
翌朝、例によって、「飛鳥」が遅い朝食をしているところへ、幇間の胡蝶屋豆八が、あわただしげに、飛びこんで来た。
「森の大将、森の大将」
「なんじゃい? 豆八ッあん、朝っぱらから、騒々しいなあ」
「もう、朝や、あらへん。それに、これが、騒々しゅうせんと、居らりょうか」
「なんぞ、起ったんか?」
「起ったも、起らんも、大きな大事が、起っちょる」
小柄で、跛の剽軽な豆八は、息を、ふうふう、切らしている。走って来たらしい。
「なんごとかね? 早よ、いわんか」
「大将の兄貴分の玉井金五郎さんのところへ、江崎満吉一家のなぐりこみじゃ」
「なにや?」
と、新之助は、飛びあがった。
食膳に向かっていたお京も、君香も、染奴も、顔色を変えた。箸を置いた。
「ちょっと、行ってくる」
金五郎が、日本刀を借りに来たことが、俄かに、ぴいんと頭にひびいて、新之助は、心の中で、(しまった)と、叫んでいた。自分の迂闊さが、腹立たしかった。
表に、駈けだそうとする新之助の袖を、豆八が、しっかりと握った。びりびりと、縫い目の裂ける音がした。
「待った、待った。