Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
それに、仕事があるので、彼等が、毎日、こんなこともして居られない。すると、松川源十が、夜になって、にこにこしながら、一人の女をつれて来た。
「ええ女中を、雇うて来たぞ」
中肉中背、いかにも健康そうで、色の浅黒い、人のよさそうな、無口な女である。三崎組のボーシンの姪に当るとかで、やはり、女仲仕として働いていたという。田崎ジュン、二十六歳。
金五郎も、逢ってみて、
「マンが帰るまで、よろしゅう、頼むよ」
と、いった。
或る朝、金五郎は、吉田磯吉に逢うために、一人で、家を出た。「飛鳥」で、友田喜造から勧告されて、約束したのである。
底抜けの青空が、動かない白雲を、天に貼りつけている、風のない日である。もう夏が来たかと思われるように、歩いていると、全身が汗ばんだ。綿羽織が、重たい。下駄も、重たい。
金五郎の心も、重たかった。
手土産をなににしようかと思ったが、顔見知りの「魚勝」に寄って、鯛を二枚、揃えた。
「お使い物ですか? お届けしときましょうか?」
気さくな「魚勝」が、そういったけれども、
「いや、自分で持って行く」
青笹を添えた鯛の皿を、風呂敷に包んで、ぶら下げた。