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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

いつになく、苦い。

それから、手紙を引きだして、読んだ。

廊下をへだてた浴室の方から、親子が話している声が聞える。ガラス戸越しで、くぐもったひくい声なので、なにを話しているのかはわからない。

「お父さん、流しましょう」

そういわれて、金五郎は、勝則に、背をこすらせていた。そして、今夜のパナマ丸の荷役のこと、このことから、三菱炭積機問題の複雑怪奇さ、友田喜造との関係が、いよいよ、土壇場を思わせるこじれかたをして来たこと、衝突と爆発はまぬがれられぬ――そんなことを話していると、

「お父さん、この字は銘ですか」

左腕を石鹸で洗っていた勝則が、訊いた。

「メイ?……なんか、字が書いてあるか」

「この、龍の尻尾の鱗に、「京」という字が彫ってありますよ」

金五郎は、びっくりした。しかし、とっさに、なに気ない様子で、

「そうか。そんなら、これを彫った京次郎という彫青師の頭文字じゃ。……へえエ、これまで、気づかんじゃったが、……」

自分では見にくい、腕の裏のところ、また、よほど注意してみないとわからない小さな鱗の一枚に、お京は自分の名を刻みこんでいるのであった。

勝則には、父の驚愕の意味などはわからないので、