Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「何故や?」
「この財布が、白粉くそうなっとる」
金五郎は、ぎくッとした。
「へえエ? ちょっと、貸してみい」
受けとって、鼻にあててみた。格別に、白粉のにおいもしなかった。
「お前、かいでみんか」
勝則に渡したが、息子も、そんなにおいはしないようだ、といった。
最後に、ババンが、念入りに、鼻をスンスン鳴らして、財布を鼻にこすりつけていたが、大きな眼をクルッとむいて、
「ほんと、こりゃ。女子のにおいがするばい」
と、頓狂にいった。
マンは、また、財布を手にして、
「東京には、美人のチボがなんぼも居るという話は、前から聞いとった。自分はやらんで、チボをたくさん使うとる女親分も居るそうな。その一人にちがわん。でも、銭も抜かんで、かえして来たというのは、どういうわけじゃろか」
「それが、今いうた、六円泥棒の口じゃろうよ」
「そじゃろか? あたしは、ちがうと思うが……」
「そんなら、お前はどう思うんじゃ?」
「女のチボが、お父さんに惚れとるとじゃないか知らん?」
「馬鹿なこと、いうなよ」
「ないことじゃないわ。一ぺんは掏りとってみたものの、惚れとるもんじゃけ、かえしといて、いつか、折りをみて、渡りをつけに来る……」