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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「女房とも、いけませんか」

そういう者があって、一座は、どっと、笑った。

「女房とでもわるいが、まかりちがって、喧嘩になれば、別れになるかも知れんから、すこしなら、よろしい」

また、隠微な笑いが流れた。

「そんなら」と、助役が、「明朝は、三時に起す。四時、浜に集合。ええな?」

「はあい」と、何人かが答えた。

「玉井」

「はい」

座の後方にいた金五郎は、そう答えて、膝立ちした。

「お前、新米じゃが、特別に、明日の組に入れてやった。ありがとう思え。それで、ちょっと、相談があるけ、後に残ってくれ」

「なんごとですか」

「それは、後で話す」

「これから、友だちと、活動写真を見に行く約束しとるんですが……」

「いかん、いかん。夜ふかしすんなと、たった今、いうたばっかりじゃないか。残れ」

「はあ」

しかたなく、頭をかいて、金五郎は、また、一座の中に沈んだ。

解散が宣せられて、仲仕たちは、どやどやと、散って行った。幹部の五六人と、金五郎とが残った。

風師山のいただきをわたる風は、一層、強くなるようである。十夜ほどの月が、山の肩に出ている。ぼうと、カサをかぶって霞み、円光のような、うすい七色の虹が美しい。