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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

新之助は、冗談めかして、そういったが、ふっと、眼を伏せ、軽く唇を噛んだ。

もう三十歳に近い百合香は、グレイのスーツを着て、断髪にしている。その洋装がよく似あう。美しい。森夫婦が、いつも、「どうしたわけで、娘がモダン・ガールちゅうもんになったのか」と、苦笑しながら、不思議がっているが、女子大学を出て、東京生活をしているうちに、両親とはかけ離れた近代娘になってしまった。英語や、フランス語も、自由に話す。それでいて、若いころ、君香の仕込んだ踊り、三味線、琴、なども、一人前以上に出来るのだった。

三人は、山を登り、次第に、深い森林の中に、わけ入って行った。猟銃を背にした二人は、老兵のようである。たくましい猟犬のベルが、先に立つ。いろいろな調子で、囀っている小鳥たちの声の中に、目ざす雉子の声を聞こうと努めた。杉、松、檜、樟などが繁茂している緑一色の中に、ところどころ、椿のあざやかな赤が黄色い蕊をのぞかせて、眼にしむ濃さで、点綴されている。丘を登り、丘を降る合間に、林の間から、ちらちらと、真青な響灘が散見した。

「居らんじゃないか」

二時間ほどもうろついてから、新之助ががっかりした声でいう。