Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだ、あきらめるのは早い。新谷勝太郎が射って来とるんじゃけ、まちがいない。まだ、何羽も見たが、射ちそこねたといいよった。どこかに巣があるらしいとも、いいよった。藤の実の減りかたのはげしいのを見てもわかる。雉子は、藤の実を蓄めて、食糧対策を講じるとじゃけ、遠方には行っとらん。もうすこし頑張ってみよう」

「金さんは、最後の一票まで、ねばることの名人じゃけ、まあ、金さんのいうことを聞こう。じゃが、くたぶれて、腹が減ったわい。ここらで、一休みして、弁当にしようや」

「そういやあ、おれも腹ペコじゃ」

「あたしもよ」

と、百合香もいいだして、食事をすることになった。杉の根の熊笹に坐り、持参の弁当を開いた。朝食なのか、昼食なのか、わからない。

「百合香、お前、すまんが、東南院に行って、お茶を貰うて来てくれんか」

「行って来るわ」

気軽に答えて、森林の小径を降って行った。快活に、なにか西洋の歌らしいものを口吟みながら、擬宝珠の屋根の方角へ、姿が消えた。

それを見送っていた新之助は、金五郎をふりむいた。

「金さん」

ひどく真剣な顔つきをしている。

「あン?」

「これを、あんたに、あげよう」