Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「はあい」

すぐに返事が聞えた。まだ起きていたらしい。

「降りておいで。お客さんじゃけ」

「今、すぐ」

勝則は、玄関の騒ぎを聞いていて、客が誰であるかを知っているらしかった。浴衣がけで、階段を降りて来ると、心持ち青ざめた顔で、長髪をかきあげながら、辻木夫人の前に坐った。

「なにか、わたしに御用ですか」

「なにかではありませんよ。光丸を、一体、どこに隠したんですか」

「光丸?……光丸がいないんですか」

「まあ、白ばくれて、憎たらしいこと。二人いっしょかと思うとったけんど、光丸だけを隠したのね。白状しなさい」

「わたしは、なんにも知りませんですよ」

「お昼すぎ、お針の稽古に出たきり、今に帰らんというのは、あんたがそそのかして、どこかに隠したに定まっていますよ。あたしを騙そうたって、そうは、問屋がおろさんわ。ひどいことする人ね」

「ほんとに、知らないんです」

「辻木さん」とマンも、横から、「勝則は嘘をいう子じゃありません、光丸さんのいなくなったこととは、きっと関係ありますまい。どうか、他所を探して下さい」

「知らん筈はないがなあ……?」

狐のような眼で、勝則を睨んだけれども、いくら追求しても水掛け論と悟ったらしい。