Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
といって、墓石の上部を、節くれだった指で示してみせる。
「なんにも、ありゃせん」
子供たちがそういうと、善助は得意になって、語りだす。
「お前たちにはわからんでも、お父っあんには、ありありとみえる。これはな、平家さんの御紋じゃ。源平合戦で敗れた平家さんの落武者は、源氏の追討が、えッときびしいもんじゃけえ、日本国中の山奥に逃げこんだんじゃが、このあたりにも来なさったんじゃ。今はこれだけでも開けたが、わしの小さいころは、この谷は昼間でもお化けの出るようなところでな、平家さんの残党が永いこと隠れて住んどった。国勢調査のとき、はじめてそれがわかってな、なんでも、まだ、チョン髷結うた、奇妙なサムライが山奥に居るちゅうんで、官員さんが調べに行ったらな、刀さしたのが出て来て――もう、源氏は亡びたか、と、きいたというわい。谷口家も、平家さんの一門じゃ。根ッからの土ン百姓とはちがうぞう」
マンは、先祖が平家であろうがなかろうが、格別、なんとも思わなかった。父の自慢するのがおかしかった。どうかすると、そのことに父の衰えを感じて悲しかった。
ところが、このことは村では由緒めかして取り沙汰され、村長の家から、二男というのに、ぜひマンをくれと縁談の申しこみがあった。