Japanische Klassiker mit Furigana
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よしとししゃせいちょう
芳年写生帖
野村 胡堂
Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme
其処へ落武者になった欽さんが飛込んで来るなんて、草双紙にも滅多に無い筋じゃないか、――あの通り世間は物騒だし、幸い主人は朴念仁で二人の仲に気が付かないから、五年でも十年でも、神輿を据えて逗留しておくれよ、ね欽さん」
長い煙管を吸い付けて布団の中へ入れると、およつの身体は横っ坐りに、肘はもう、男の布団へやわやわと重しになるのでした。
「傷はもう癒ったぜ、何時までも斯うしていた日にゃ、人間の造作が弛むよ、後生だから起してくれ」
煙管をポイと投って、欽之丞は枕へ頬杖を突いたなりに、下からおよつの滴る風情を見上げるのです。
「あれさ、お前、起き出した時は、追い出される時じゃないか、それに縁側やお勝手でウロウロされちゃ、近所の人の手前もあるし」
「その近所に、飛んだ綺麗な娘が居るじゃないか」
「まア、呆れたよ。もうあれを見たのかい、――でもあれだけはお止しよ。お浜坊と言って、素人のくせに飛んだ摺れっからしさ。何処が良いか知らないが、うちの朴念仁にポーッと来て居るんだって、ホホ」
「ヘエ――、芳年師匠、芸道ばかりと思ったら、そんな腕もあるのかい」
欽之丞は何処までも面白そうです。