Japanische Klassiker mit Furigana
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よしとししゃせいちょう
芳年写生帖
野村 胡堂
Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme
恐ろしい予感
し切れなかったのです。
「何が足りないと言うんです、え?」
「凄さが足りない」
「え? ――お前さん、確りして下さいよ。あんな二本差なんか、芋侍に引渡しさえすれば、それでお仕舞なんだから」
お浜には、芳年の心持が解る筈もありません。日下部欽之丞とおよつの関係を言い当てられて、フラフラと気が変になったのであるまいか――お浜はそんな事を考えるのが精一杯だったのです。
「放って置いてくれ、お浜さん、俺にも少しは考えたことがあるから――」
解ったような、解らないような事を言い捨てて、芳年は自分の家へ入って行きました。
「――――」
その臆病らしい姿、作り笑いさえ浮べた横顔を、お浜はどんなに腑甲斐のないものに思ったのでしょう。
御家人の子に生れて、その描く絵と同じように、骨っぽい男らしい人柄を見上げる心持で居たお浜は、近頃の芳年の意気地のない態度に、言いようのない憤懣を感じて居たのです。
「皆んなあの女のせいだよ」
お浜の眼には、恥というものを、何処かに置き忘れて来たような、およつの白粉焼のした顔が、はっきり浮ぶのでした。
恐ろしい予感
「日下部さん、御安心なさい。三河島の御親類じゃ、日下部さんが無事と聴いて、大喜びでしたよ」