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Japanische Klassiker mit Furigana

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よしとししゃせいちょう

芳年写生帖

野村 胡堂

Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

悪い相談

「え――ッ」

紫電一閃、

「わッ」

羅紗陣羽織の肩から鮮血を吹き上げて、相手は倒れたのです。

「お助けッ」

芳年も、あまりの事に肝を潰して、欽之丞の足許に這いました。

「馬鹿奴ッ、何んと言う声だ、斬られたのは貴様ではないぞ」

「ヘエ――」

「其方の住居は何処だ」

血刀を拭い乍ら、欽之丞は訊ねました。

「あ、浅草の馬道でございます」

「大して遠くはないな、――今晩一と晩俺を泊めろ」

「――――」

「いやか」

生血を拭いたばかりの刀が、芳年の眼の前へ、思わせ振りに動きます。

「と、飛んでもない」

「では、案内せい、――こんなところに長居は無用だ」

「――――」

「さア」

促され乍ら、芳年は此処に釘付けになりました。夕闇の中に絶え入る、今斬られたばかりの武士の相好が、芳年の興味を犇と捕えたのでしょう。

何時の間にやら取出した帳面、それをガタガタ顫える膝の上に展べて、芳年は矢立の筆を噛んでいたのです。

悪い相談

それから四五日、江戸には血生臭い風が吹き続きました。

その風に憑かれでもしたように、大蘇芳年は、朝から晩まで、街から街へと、物騒な噂を追い歩いて居たのです。

小塚ヶ原の刑場は言うに及ばず、彼方の橋の袂、此方の長屋の裏で、彰義隊の落武者が、薩長の巡邏兵に見付けられ、縛られ、斬られる有様を、吐気を催すような嫌悪と、病的な熱情とで、一々