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Japanische Klassiker mit Furigana

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よしとししゃせいちょう

芳年写生帖

野村 胡堂

Lesen Sie 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.626 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたの仰しゃる遊女や役者や道中絵を描くのは、泰平の世の浮世絵師、――女子供の慰みにする気はなくとも、世の中に事が無いと自然絵までが穏かになりますが、此節のように、斬った張ったの世の中、耳元で鉄砲の音のする時節には、それ相応の浮世絵がなくてはなりません。この世の中に様々な姿を、あるが儘に写して、後の世に伝えるのは、絵筆とる者の勤めでござります。――今時華魁や役者の絵を描いて、一人で悦に入っていられましょうか」

芳年は一所懸命でした。自分に掛けられた疑惑を解くというよりも、硝煙と血潮の洗礼を受けた浮世絵師の、精一杯の誇りを――斯う高らかに言ってやり度かったのです。

「可笑しな奴だ、言う事は一と通り筋道が立っているが――そのくせガタガタ顫えて居るじゃないか。そんな臆病者に、血腥い場面が写せると思うか」

「写しますとも、ヘエ、身体の顫えるのは疳のせいで、私の臆病のせいじゃございません。こんな時本当に突き詰めた人間の姿を写して置かなきゃ、――私は浮世絵師に生れた甲斐がありません。何んの」

「よし、それじゃ、もっと凄いところを見せてやろう、一緒について来い」

「ヘエ――」