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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうたく

荷風随筆集(下)〔全2冊〕

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(下)〔全2冊〕 (しょうたく) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.633 Zeichen · 74 Bildschirme

Aozora Bunko

なく、また同じ暖い海はありながらどういう訳か希臘のような芸術も作らずにしまった。よし一つや二つ何か立派などっしりした物があったにしても、古今に通じて世界第一無類飛切りとして誇るには足りないような気がする。然らば何をか最も無類飛切りとしようか。貧乏臭い間の抜けた生活のちょっとした処に可笑味面白味を見出して戯れ遊ぶ俳句、川柳、端唄、小噺の如き種類の文学より外には求めても求められまい。論より証拠、先ず試みに『詩経』を繙いても、『唐詩選』、『三体詩』を開いても、わが俳句にある如き雨漏りの天井、破れ障子、人馬鳥獣の糞、便所、台所などに、純芸術的な興味を托した作品は容易に見出されない。希臘羅馬以降泰西の文学は如何ほど熾であったにしても、いまだ一人として我が俳諧師其角、一茶の如くに、放屁や小便や野糞までも詩化するほどの大胆を敢てするものはなかったようである。日常の会話にも下がかった事を軽い可笑味として取扱い得るのは日本文明固有の特徴といわなければならない。この特徴を形造った大天才は、やはり凡ての日本的固有の文明を創造した蟄居の「江戸人」である事は今更茲に論ずるまでもない。