Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
音をきいて、マリイが出てきました。
紳士とマリイとは、顔を見合わして、そこに棒のように立ちすくみました。マリイはふいに、紳士の胸にとびついていきました。
「お父さん、お父さん……生きていらしたのね。お父さん……帰ってきて下すったのね。お父さん……」
マリイは泣きながら、次の部屋にとびこんでいきました。
「お母さん、お父さんがいらしたわ、お父さんが……」
母親はベットからとびおりてきました。父親の方も、その部屋にとびこんでいきました。そして三人で、涙を流しながら抱きあいました。
父親は力つきたように、そこにひざまずいて、ベットに顔をふせました。
「許してくれ。せんだって、おれはマリイの姿を見かけたが、たずねてもこなかった。おれは海賊の仲間にはいっているんだ。船が難破して、沈んでしまった時、海賊に救われてから、その仲間にはいってしまったんだ。こちらにやってきた時、ずいぶんお前たちの行方をさがしたが、わからなかった。それに、海賊の約束として、家族の者にあってはいけないことになってるんだ。家族の者にあってると、秘密がもれたり、勇気がくじけたりするからだ。そんなわけで、マリイの姿を見かけても、声もかけなかった。