Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
深さは大人の胸ほどで、滝の水が一方からざあざあおちこんでいます。そのなかで、網をはる者、しゃくう者、水にもぐる者、おおさわぎでした。
けれど、金色の髭をはやした大きななまずは、いっこうに見つかりません。手や足にさわった者さえありません。大きななまずどころか、ほかのめぼしい魚もいず、淵のなかはがらんとしてるようでした。
それでも私たちは、一日あさりつづけました。身体がひえると、着物をまとって、草原の上にねころんで、てりつける太陽の光にあたりました。夕方ちかくなると、焚火をしました。だんだんがっかりしてきて、口をきかなくなりました。もうだめのようでした。
その時です、いちどに両方から声がしました。
「いたよ、いたよ」
淵のなかと、西の空と、両方をむいてです。西にかたむいた太陽が雲にかくれようとしていて、そのきれぎれの雲の一つが、なまずの形になって、金色の髭をはやしていますし、それがそのまま、淵の水のなかにもうつっています。それを、私たちが両方見くらべてるまに、もうすーっと、雲の形はくずれ、淵のなかのも消えてしまいました。
私たちはあっけにとられて、言葉もでませんでした。