Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme
「銭形の親分、重ね重ねの事で、本当に恐れ入ります」
「とんだ災難だね」
なんとなく落着きを失った主人に案内されて、平次と八五郎は土蔵の裏の離屋に行きました。
まだ検屍前で、二枚ばかり開けた雨戸から夏の光は一パイに入り、庵室の中の凄まじい情景を、残る隈なく照し出しております。
「あ」
銭形平次も、思わず足を駐めたほど、それは冒涜的なものでした。
死んだお半の足で蹴上げたらしく、滅茶滅茶に崩れた仏壇、燭台の蝋燭は不思議に無事で、これは半分ほどを残して消してありますが、その前に引っくり返ったお半は、この前見たときの神妙な姿と違って、思いきり紅白粉の薄化粧をした上、輪袈裟どころか燃え立つような長襦袢一枚になって、胸も肢も浅間しいまでに取乱したまま、その左の乳のあたりへ、匕首を深々と刺してこと切れているのです。
「これはひどいな」
平次が唸ったのも、それは無理のないことでした。胸から腕へ、脛から股まで、思いおくところなく取乱した姿は、八五郎が『裸で死んでいた』と報告したのも満ざら嘘ではありません。匕首は血に染んだまま、死骸の手の上に乗っておりました。固く握ったのではなくて、それは苦悶に歪んだ指の上に乗っていたと言った方がいいでしょう。