Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme
二
二
それから一と月ばかり、藤や牡丹や菖蒲が咲いて、世間はすっかり初夏になりきった頃のことでした。
「親分、やはり変なことになりましたよ」
「また変な事の押売りか、何がどうしたんだ」
フラリとやって来た八五郎は、少しつままれたような顔をしております。
「三河町の吉田屋ですがね」
「お半が還俗して、お前のところへでも転げ込んだのかえ」
「お半に変りはありません。苅萱道心みたいに神妙にしておりますがね、昨日あの家のお内儀さんが死んだんです。死様にも不思議はなく、持病の心の病と医者も見立てたんですが、困ったことに――吉田屋のお内儀の死んだのは変死に違いない。無事に葬いを引受けると、後日の難儀だろう――と檀那寺に手紙を投り込んだ者があって、葬式を出せなくなってしまい、検屍をお願いする騒ぎです。親分もちょいと立会って下さいませんか。お係り同心の近藤常平様のお伝言ですが」
「よし、待って居な」
平次もこれは否応ありません。さっそく着換えをして、三河町まで八五郎と一緒に飛びました。
「お、平次、よく来てくれた」
年輩の同心近藤常平は、ホッとした様子で平次を迎えました。
「相済みません、遅くなりました。