Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme
七
七
平次はその足ですぐ、もういちど朝倉屋に引返しました。
「どこへ行くんです、親分」
八五郎はその後ろから、少しあわて気味に跟いて来るのです。
「あのお嬢さんの手紙が一本、どこかにあるはずだよ」
「それから?」
「もういちどあの凧の糸を見よう」
平次は言葉少なに応えて急ぎました。
朝倉屋に着いて、福之助とお専に黙礼した平次は、いきなり二階へ登って行くと、そこには小僧の定吉と、浪人立花久三郎の甥松次郎が、何やらしめやかに話しながら、竜吉の死骸を看ているのです。
「二人で何をしているんです」
平次は少しとがめる調子になります。
「坊っちゃん一人じゃ淋しかろう――って、松次郎さんが言うんですよ」
小僧の定吉でした。
「朝倉屋の主人は?」
「用事があって日本橋の店へ帰りましたよ。番頭さんでもよこして、何彼の支度もしたいんですって」
「兄さん夫婦もいるじゃないか」
「薄情なものですね。死人は気味が悪いって、二人とも寄りつきませんよ」
小僧の定吉は思いのほかに皮肉でした。富坂松次郎は、それを黙って聴いているだけです。
「ちょいと用事があるが、二人とも、階下へ行って貰いたい――」
「それじゃ、しばらく頼みますよ」