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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九) 全十冊

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「父親は先へ出た。文三郎は中から雨戸を念入りに締めきった上、年にしては身体が小さいから、欄間の障子を外してそこから脱け出し、後で気が付いて、一間半の欄間を皆んな拭いて置いた」

「…………」

「どうだ御主人、これで間違いはあるまい。違ったところがあるなら言ってくれ。幸い縁側には文三郎も聴いているようだ」

平次の説明は行き届き過ぎました。

「親分さん、私を縛って下さい。父さんはなんにも知りません。皆んな私が」

障子を開けて転げ込んだのは、言うまでもなく次男の文三郎の、激情に押し負かされた哀れな姿だったのです。

「文三郎。お前は、お前は」

それを抱き起すように、父親の彦七。

「いいってことよ。お半は馬鹿な芝居を打ち損ねて、それがバレそうになって自害をしたんだ。それで万事落着じゃないか。なア、八、帰ろうぜ、――誰も縛られる者はないはずだ――」

平次は互に抱き寄る父子を尻眼に、そっとその座を滑り出るのでした。

江戸の町はもう夜です。何処からともなく夏祭の稽古囃子が面白そうに聴えて来るのでした。