Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九) 全十冊

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「その大変なことから話して貰おうじゃないか」

「…………」

若旦那は、少しばかりモジモジして居ります。それは容易ならぬ重大事らしく、言ったものか、言わずに済ましたものか、ひどく迷っている様子です。

「言って悪いことなら別に聴こうとは思わないが――」

「いえ、良いも悪いもございません。皆んな申上げてしまいます。親分さん」

「それが上分別というものだろう」

「何を隠しましょう、私は――」

「…………」

「この私は、ツイ二年前までは、両国の橋の下を宿にして、使い走りから、日手間取り、たまにはあぶれて、人様の袖に縋った、なさけない宿なしだったのでございます」

若旦那は思い切った調子でこう打ち明けると、懐から手拭を出して、額口の汗などを拭いております。

「それはまた変り過ぎているじゃないか」

平次もツイ居住いを直しました。木戸のところにぼんやり立っている八五郎も、四方に気を配りながら、聴耳を立てている様子です。

二

「私はどこで生れて、親がなんというものかそれも存じませんでした。さいしょは軽業の南左衛門という親方のところで、玉乗りやブランコの稽古をさせられておりました。どうやら一通りの芸を仕込まれると――四つ五つから、十四五まで、関東から甲州、信州へかけて、旅から旅と興行を続けておりましたが、今から五年前、親方の南左衛門が江戸へ出て