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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九) 全十冊

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

すべて恋をするものの他愛なさ、――八五郎はそれをこう説明するのでした。

「ね、親分、――笑わないで下さいよ――あっしはもう」

「どうしたえ、臍が痒いって図じゃないか」

「臍も踵も痒くなりますよ。二年越し惚れて惚れて惚れ抜いた同士が、口説きも口説かれもせず、思い詰めた揚句の果、男の方も女の方もどっと患いついたなんて古風な話が、今時の江戸にあるんだから――」

「それが可笑しいと言うのか、お前は?」

「止して下さいよ。大家さんが意見する時の顔そっくりですぜ。そんな尤もらしい顔は親分に似合いませんよ」

「似合わなくて気の毒だが、あいにく俺の顔は、これ一つしかないよ」

銭形平次と八五郎の話は、馬鹿馬鹿しく空廻りしながら、急所急所の要領を掴んで行くのでした。

「でもね、親分。恋患いとか片思いとか、昔から唄の文句にもあるが、惚れた同士が共倒れに患いついて、明日の命も知れないなんざ、馬鹿馬鹿しいと思いませんかね」

「思うよ。もっとも、羅生門河岸を一と廻りすると請合い五六人の岡惚れを拵える八五郎だって、考えようじゃ馬鹿馬鹿しくなるが――」

「一々あっしを引合いに出さずに、まず話を聴いて下さい」