Japanische Klassiker mit Furigana
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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (こうやひじり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.025 Zeichen · 71 Bildschirme
何にしても恐しい今の枝には蛭が生っているのであろうとあまりの事に思って振返ると、見返った樹の何の枝か知らずやっぱり幾ツということもない蛭の皮じゃ。
これはと思う、右も、左も、前の枝も、何の事はないまるで充満。
私は思わず恐怖の声を立てて叫んだ、すると何と? この時は目に見えて、上からぼたりぼたりと真黒な痩せた筋の入った雨が体へ降かかって来たではないか。
草鞋を穿いた足の甲へも落ちた上へまた累り、並んだ傍へまた附着いて爪先も分らなくなった、そうして活きてると思うだけ脈を打って血を吸うような、思いなしか一ツ一ツ伸縮をするようなのを見るから気が遠くなって、その時不思議な考えが起きた。
この恐しい山蛭は神代の古からここに屯をしていて、人の来るのを待ちつけて、永い久しい間にどのくらい何斛かの血を吸うと、そこでこの虫の望が叶う、その時はありったけの蛭が残らず吸っただけの人間の血を吐出すと、それがために土がとけて山一ツ一面に血と泥との大沼にかわるであろう、それと同時にここに日の光を遮って昼もなお暗い大木が切々に一ツ一ツ蛭になってしまうのに相違ないと、いや、全くの事で。