Japanische Klassiker mit Furigana
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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (こうやひじり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.025 Zeichen · 71 Bildschirme
十一
こういうのは、悪くすると突然ふんづかまえて臍を捻りながら返事のかわりに嘗めようも知れぬ。
私は一足退ったが、いかに深山だといってもこれを一人で置くという法はあるまい、と足を爪立てて少し声高に、
(どなたぞ、ご免なさい、)といった。
背戸と思うあたりで再び馬の嘶く声。
(どなた、)と納戸の方でいったのは女じゃから、南無三宝、この白い首には鱗が生えて、体は床を這って尾をずるずると引いて出ようと、また退った。
(おお、お坊様。)と立顕れたのは小造の美しい、声も清しい、ものやさしい。
私は大息を吐いて、何にもいわず、
(はい。)と頭を下げましたよ。
婦人は膝をついて坐ったが、前へ伸上るようにして、黄昏にしょんぼり立った私が姿を透かして見て、
(何か用でござんすかい。)
休めともいわずはじめから宿の常世は留守らしい、人を泊めないときめたもののように見える。
いい後れてはかえって出そびれて頼むにも頼まれぬ仕誼にもなることと、つかつかと前へ出た。
丁寧に腰を屈めて、
(私は、山越で信州へ参ります者ですが旅籠のございます処まではまだどのくらいでございましょう。)
十一
(あなたまだ八里余でございますよ。