Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (こうやひじり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.025 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

十

こう思っている間、件のだらだら坂は大分長かった。

それを下り切ると流が聞えて、とんだ処に長さ一間ばかりの土橋がかかっている。

はやその谷川の音を聞くと我身で持余す蛭の吸殻を真逆に投込んで、水に浸したらさぞいい心地であろうと思うくらい、何の渡りかけて壊れたらそれなりけり。

危いとも思わずにずっと懸る、少しぐらぐらしたが難なく越した。向うからまた坂じゃ、今度は上りさ、ご苦労千万。」

十

「とてもこの疲れようでは、坂を上るわけには行くまいと思ったが、ふと前途に、ヒイインと馬の嘶くのが谺して聞えた。

馬士が戻るのか小荷駄が通るか、今朝一人の百姓に別れてから時の経ったは僅じゃが、三年も五年も同一ものをいう人間とは中を隔てた。馬が居るようではともかくも人里に縁があると、これがために気が勇んで、ええやっと今一揉。

一軒の山家の前へ来たのには、さまで難儀は感じなかった。夏のことで戸障子のしまりもせず、殊に一軒家、あけ開いたなり門というてもない、突然破縁になって男が一人、私はもう何の見境もなく、

(頼みます、頼みます、)というさえ助を呼ぶような調子で、取縋らぬばかりにした。