Japanische Klassiker mit Furigana
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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
Lesen Sie 高野聖 (こうやひじり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.025 Zeichen · 71 Bildschirme
二十四
あたかも何よ、それ畜生道の地獄の絵を、月夜に映したような怪しの姿が板戸一枚、魑魅魍魎というのであろうか、ざわざわと木の葉が戦ぐ気色だった。
息を凝すと、納戸で、
(うむ、)といって長く呼吸を引いて一声、魘れたのは婦人じゃ。
(今夜はお客様があるよ。)と叫んだ。
(お客様があるじゃないか。)
としばらく経って二度目のははっきりと清しい声。
極めて低声で、
(お客様があるよ。)といって寝返る音がした、更に寝返る音がした。
戸の外のものの気勢は動揺を造るがごとく、ぐらぐらと家が揺いた。
私は陀羅尼を呪した。
若不順我呪 悩乱説法者
頭破作七分 如阿梨樹枝
如殺父母罪 亦如厭油殃
斗秤欺誑人 調達破僧罪
犯此法師者 当獲如是殃
と一心不乱、さっと木の葉を捲いて風が南へ吹いたが、たちまち静り返った、夫婦が閨もひッそりした。」
二十四
「翌日また正午頃、里近く、滝のある処で、昨日馬を売りに行った親仁の帰りに逢うた。
ちょうど私が修行に出るのを止して孤家に引返して、婦人と一所に生涯を送ろうと思っていたところで。
実を申すとここへ来る途中でもその事ばかり考える、蛇の橋も幸になし、蛭の林もなかったが、道が難渋なにつけても、汗が流れて心持が悪いにつけても、今更行脚もつまらない。