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Japanische Klassiker mit Furigana

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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はもう余り考えなかった。ただ歩き廻った。邸の庭と云わず、邸の附近の町と云わず、ただ当てどもなく歩き廻った。心の隅では、どこかの木蔭から、或は軒下から、ヒョッコリ洋子が現われてくるのを期待しながら。

その日も、二郎は何の当てもなく、大森の町を歩き廻ったのだが、ふと気がつくと、今まで一度も通ったことのない、まるで異国の様な感じの町筋に出ていた。すぐ目の前に、田舎びた、古めかしい一軒の芝居小屋が建っている。ハタハタと冬空にはためく十数本の幟。そこには、一度も聞いたことのない奇術師の名前が染出してある。

「アア手品だな」

と空ろな頭で考えて、小屋の軒に並んだ絵看板を眺めると、様々な魔奇術の場面が、毒々しい油絵で、さも奇怪に、物凄く、描いてある。古風な骸骨踊り、水中美人、人間の胴中へ棒を通して担いでいる有様、テーブルの上で笑っている生首、どれもこれも、一世紀前の、手品全盛時代の、物懐しい場面ばかりだ。

虫が知らせたのであろうか、彼はその小屋へ、フラフラと這入って見る気になった。まだ夕方で、演芸も大物はやっていなかったけれど、それでも、久しく忘れていた少年時代の好奇心が蘇って、小奇術の一つ一つが、ひどく彼の興味をそそった。