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Japanische Klassiker mit Furigana

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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

殺人第三

爺やは平気な顔で嘘っ八を云っている。

「もう少しで怪我をする所だったわ。ホラ、こんな大きな石ころなんですもの。もうこんなあぶないいたずらは止すといいわ」

妙子はブツブツ小言を云う。爺やは頭を掻いて閉口するばかりだ。

それ丈けの出来事である。何の他愛もない一些事に過ぎない。だが、神経過敏になっている二郎には、ただ事とは思えなかった。彼は音吉爺やが、あの恐ろしい兇賊その人ででもある様に、恐怖に満ちたまなざしで、立去る彼の後姿を見送った。

では、この二つの妙な出来事は、全く二郎の疑心暗鬼であったかと云うに、必ずしもそうではないことが、翌日、翌々日と日がたつにつれて、段々ハッキリして来た。

殺人第三

その翌日、例になく早起きをした二郎が、庭を散歩しながら、何気なく玄関の前まで来かかると、音吉爺さんが、西洋館の入口の大扉を、せっせと雑巾で拭いているのに出合った。見ると、彼は漫然と雑巾がけをしているのではなくて、その扉へ誰かが白墨でいたずら書きをしたのを、拭きとっていたのだ。

二郎はハッと立止って、思わず声をかけた。

「爺や一寸御待ち、消しちゃいけない」

音吉はびっくりして、手を止めたが、文字は已に大部分拭きとられて無意味な一線を残しているばかりだ。