Japanische Klassiker mit Furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lesen Sie 魔術師 (まじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.264 Zeichen · 280 Bildschirme
遠方と暗さの為に、こうして近々と眺めるまでは、年齢や顔の輪郭までは見極めることが出来なかったのだ。
明智は若者を虫けらの様に突き離して置いて、元来た梯子の方へ引返し、おそまきながらもう一度舞台裏を検べて見ようとした。
だが、入口の穴まで来て、下を見卸すと、梯子の昇り口に群がりよる一団の人々。警官、座方の者、弥次馬、それに玉村二郎まで、全員こぞって、屋根裏目ざして集って来た所だ。
「二郎君、木戸口の見張りはどうしたんだ」
明智は烈しい口調で尋ねた。
「木戸口の見張ですって、そんなことどうだっていいじゃありませんか。手下の奴等が逃げてしまっても、首領さえ捕えれば」
二郎は呑気な返事をした。無理はないのだ。道化服の怪人は明智を初め三人のものに、屋根裏へ追いつめられた。もう何も表口裏口を見張っている必要はない。それよりも明智に協力して屋根裏の怪賊を捕えなければならぬ。一刻も早く恋人の敵の顔が見てやり度い。と二郎が考えたのは、誠に自然である。二郎がその考えだから様子を知らぬ警官にしても、座方の者にしても、もう犯人は捕まったことと思って、ただ屋根裏へと殺到したのだ。