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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

四ツ手駕月の都をさして駈け

柳樽にこんな句があったことを源内は思い出していた。

「旦那」

走りながら後棒がいった。

「なんだ?」

「時鳥が啼きやしたぜ」

「うむ……」

時鳥は九条村でも珍らしくないから、ツイそっけない返辞をしたが、武骨な駕屋が、せっかく教えてくれた風流心に対して、悪かったような気がする。

それから、ほととぎす、ほととぎす、と考えるともなく句を練っていると――やがてのこと。

後ろのほうから、何者かが声を張りあげて、

「おおーい、おウい、その駕――」

呼んでは駈け、呼んでは駈けてくる者がある。

「なんだい、後棒」

「いけねえ、変なやつが飛んできやがる」

どうせ、時鳥を教えたくらいな駕屋だから、善良で弱いのにはきまっている。少し、足なみが揃わなくなった。

「旦那、どうしましょう」

「ちょっと、駕を降ろしてごらん」

「だって」

「なに、聞き覚えのある声なのだから」

まごまごしている間に、後ろの者は、宙を飛ぶように駈けてきて、源内の姿を見るより、息をぜいぜいいわせながら、言葉は半分、手ばかり振って、こういった。

「先生……先生。は、早く、その駕のまんま、後へ帰って下さい、後――へ。