Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
女男女
と覗けば一角もつい気を奪られて、なかなか周馬にゆずる気色もなかったが、そのうちに、
「やッ、彼奴だ!」
と、ただならぬ声をあげ、眼鏡を離れて舞台から伸びあがった。
だが、遠眼鏡で見たものが、肉眼でたしかめられるはずはなく、ふたたび覗いてみると、今、体で位置を狂わしたので、腹立たしいほど、見当ちがいな遠景が映った。
「ああ、いけない、どっちであったかの」
「なんだ、なにを見たんだ」
「イヤ、まだしかと分らなかったのだ。それで覗いてみると、もう以前の所が見えない」
「見えないはずだ、貴公、そんなほうへ向けておるのだもの。貸したまえ、こっちへ」
「早くせぬと、あるいは一大事になるかもしれぬ」
「なんだ、宅助か」
「いや」
「お米か」
「いや。まあ、そっちを早くなおしてくれ」
「そう、側で急いては困るな」
周馬が代って、覗き覗き、前の所へ向け戻そうとしたが、今の一大事といったのが胸を騒がせて、容易に角度が定まらない。
女男女
法月弦之丞の胸もとへ、誰か、いきなりぶつかってくるなり、うしろへ身をちぢこめて、
「――お侍さまッ」
と、かれの体を楯にしながら、すがりついた者がある。
ふいに、帯へ重みをかけられたので、